なにもない森/英水
 
れていった
血管を流れる白血球がゴロゴロ猫なで声で流れている
抱え込む足さえなく、手持ちぶたさになる手も無くなったから
うめき声を搾り出したぁぁあああああ
ヴァアアア、アあ、あ

ヴぉおオレはオレが何を欲していたのかを理解した
それは誰ももっていない、どこにもない器官だった
そしてそんなものはどこにもなかった
どこにもないものなんて、どこにもありゃしない

オレはそれでも、目を凝らし続けた
毛細血管が風に引っ張られて
破裂して、白血球が転がっていく
何もない、森の中を流れていく
視神経がいぃひっぱられてぃ
いいいぃぐうぅううう

黒い角が生えた
変態していた
ただの十字だった
思考だけが残った

今は、呻くことさえできない



ただ、乳が流れ込んできて
窒息することだけを恐れている
。。

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