イブの夜明け/
たもつ
浮かれていた街も
今では寝静まり
人々は家に帰り鍵をかけ
浮かれ損ねた奥底に
ひとり夜明け
少し離れたところで
青年は白い息を吐きながら
朝の新聞を配っている
早くから大変ですね
なんて声をかけるのも
白々しくて
ただきみが昨日
楽しい夜を過ごせたのなら
それをせめてもの救いにする
どこから飛んできたのか
拾い上げたクラッカーは中身がなくて
コートの右ポケットに
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