何をリハビリするのだろう。/いとう
あなたたちのぬくもりが
> そうさせてくれない
ここだ。
ここで感じる違和感をどう説明すればいいのだろう?
たとえば、
孵化した海亀が海へ向かう途中、ふと、カメラ目線をお茶の間に捧げるような、
そういう感覚と酷似している。
文章の表面だけを見れば、幼い人間にありがちな、単なる責任逃避や自己陶酔にも見える。が、
その奥には、
この一節を発表してしまうこと自体に、
彼自身の検閲の中で取りこぼした何かが表出してしまっているようにも感じられ、
それこそが違和感の正体としてわだかまりを生んでいる。
この違和感はなんだろう?
肌感覚としか言いようがなく、上手く言語化できないのが残念なのだけれど、
前述の彼の習性、あるいは苦悩がここに見え隠れするのだ。
そしてそれを推し進めて考えれば、
「リハビリ」というタイトルの内面に、隠された意味として、
(そして本人も気づかないうちに)
彼自身の、無意識があるようにも、思えるのだ。
それはおそらくは、穿ちすぎなのかもしれないけれど、
記すことで、何かが生まれるような気もして。
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