母に寄せて/
蒸発王
午後6時
宵の口は
ぱっくりと
開いて
闇は
手で掬えるほどに
近くまで降りております
ときおり吹く
北風が
ぴうぴうと
母の頬を煽るので
やはり
母の頬は
リンゴの様に
染まり
その赤が
宵の闇のなかで
ひどく
映えているのでした
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