もいっぺん、童謡からやりなおせたら/角田寿星
い
ぼくはきっと
今度は足の裏のにおいを嗅ぐのに夢中で
このにおいが世界平和に活用できないか
真剣に考えているだろう
ぼくら もいっぺん
童謡からやりなおせたらいいね
ぼくら たんたんたぬき と大声で合唱して
幼稚園のクララ先生に 火が出るほど怒られた時みたいに
そして君とぼくは 詩の話をしよう
ぼくは ぞうさん とか
みかんの咲く丘 とか
それいけアンパンマン に
比肩しうる詩をいつか書くんだ
幼稚園の制服で 手をつないで
芝生にすわって空を見上げたりなんかしてね
大人になって 故郷をはなれて
ぼくは ふるさと の2番
いかにいます ちちはは
つつがなきや ともがき のとこで
いつも涙で 声がつまって
最後まで うたえなくなる
ねえ
詩 って なんだろうね?
ぼくは君に
ひとりごとのようにつぶやいてみる
君は子どもたちの世話とか
夕食の支度とかに忙しくて
ぼくの問いに
答えられない
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