ノート(40Y.1・15)/木立 悟
 


走る光 歩む光
過ぎ去る光の姿に照らされ
棘を持つ動かぬかたちの影が
夜を動かす歯車のように廻る



道を削ぐ車輪の音があり
夜の真上を曇らせてゆく
らせんの山道を下りゆくものを
頂から見つめる声がある



血に染まる雪をついばむ鴉
そのまなじりは裂けている
涙に見ひらく目に映る
何から何まで赤い旅人
雪にさざめく原のなかを
雪にはばたく山へ向かう




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