休日は、ほつれるように/霜天
 
君はまた空を飛ぶ
    いつものように、そのままの姿で


さよならと言う口で、ただいまと伝える
手の届くすべてが本当で、そこに嘘を混ぜ込んでいく
君はいつまでも空を飛んでいて
僕らはもうすぐ、出掛けなきゃならない


次はどこへ行こうかと
地図を逆さにして振り落とす
一号、五一号、四〇九号
ごとりごとりと、落ちる音が増えていく
次はいよいよ、泳がないといけないらしい

繋がっているはずの手を、ぐいと引っ張る
また次の行き先を告げる
右へ向かうカーブにハンドルを切れば
君は左の窓からするり抜け出して
いつまでも、空を飛びたがってしまう


休日は、ほつれるように

忘れることにいつも慣れない
思い出す振りをして、指先の行方を探してしまう
三七度を計りあう手を、互いに間違えないように
いつだってその行方を、忘れかけてしまうから
思い出すように、息をして
辿り着けない休日の
一日が一日で終わっていく

崩れかけの伝言を、メモに落としていきながら


まだ白い次の日曜、どんな言葉で埋めてみようか
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