とらわれ/
木立 悟
中指から先に
地に付け 飛び立ち
光を
奪うように吸う
ひとつの緑
とどろく緑
水滴の世界に
隣り合う水滴
手に余るものはこぼれ
いつのまにか芽吹き
人は震えるうた
川底のたましい
腕の輪の蒸気
とらわれて
飛ぶ冬の鳥
とらわれて
豊穣に触れ
口に含み
降りそそぐ言葉を
子は浴びている
多くを望まぬしきたりに
緑なす金
粒のふちどり
沈むほどに沈むほどにそそがれる
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