雪やなぎ/はなびーる
雪柳
に見えたのは
道端の雑草だった
電車に乗る前は
まだ青空が
のぞいていたのに
車窓から見えるのは
刻々と
白さを増す景色
若草色のマフラー
ほうっ…と
ほどいて
足元から来る
温かさが
とても嬉しい
ブラジル人らしい青年が
しきりに「ゆき」「ゆき」と
彼女に話しかけている
ブラジルに雪はふるのだろうかと
うっすら
考えている
ふわふわ舞っていた
羽虫のようなものが
横殴りになってきて
「電車は9分遅れております」
のどかに
アナウンスが流れる
ここはどうしてこんなに
温かいのだろう
きっと電車を降りても
温かい気がする
若草色のマフラー
ぐるぐる巻きにして
すっかり白につつまれた
目的地の駅に降りた
温かいのはやっぱり
暖房のせい
だけではなかった
もうすぐ
みんなに
会いに行く。
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