東京群青/霜天
 
追いかけている背中は
とても遠いもので
積み木を崩されるだけが
この街のすべてじゃない

あなたを追いかけているようで
僕に追いつきかけている
手をのばせば繋いでいるようで
もっと違う、遥かなところを
暖かいところを避けてみたり
冷たい夜に寄り添ってみたり
そんなことも、ある


東京の空
ぎりぎりと音を立てて回る観覧車の上
背伸びをしても追いつけない青は
手を離せばあなたを吸い込んでいきそうで
そんな感覚を飲み込みながら
ポケットに手を突っ込む


指先に
一瞬にも永遠にも似ない
思考のようなものを集中したとき


背中から落ちていくものが
落ち葉のようにも見える人がいる
黄色く染まった足跡をたどれば
しゃりしゃりと音に呑まれては
結局僕も染まっていく
間違えないように指先の
ひとつひとつを繋いでいけば
青い空の地平まで
いつまでも終われない気がしてた
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