四月の生徒/簑田伶子
リコーダーの空は
ドナドナを歌いだしそうに 不安
ランドセルは束ねられていた
赤く
赤い文字盤をみている
チャイム
太宰治は、を主語にして
話をしたことがあったかもしれない
男・話は飛躍する
デジカメの画素数についてきいたら
ニュートンまで話が飛んだ
ニュートンの林檎が食べたい・その他
林檎でお手玉できるか
ととなりの男が言う/フォークを使う
ゆきずり、というのだろうか
四月 初めてのラブレターは捨てた
カラスが喪に服すのは四月
頭蓋骨ゆらす 記憶は、清潔
口の かたちを思い出せない
あの人の 私のことをかわいそうだと言った
二度と逢えない人のことを考えるのは
二度と逢えないからだ
(よくできました はなまる)
さようなら が 正答だった
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