雪 のち 曇り のち・・・/松本 卓也
何もかもどうでもいいって
気だるい笑顔に滲む諦め
包んだ両手に伝わる震えは
きっと寒さのせいじゃない
無造作に雪を運ぶ風
寄り添う温もりさえも
白過ぎる指を伝っては
路面に吸い込まれるのかな
繰り返す言葉を否定しても
呟きは留まらず零れつづけ
耳を澄ますたびにか細く
風音に溶けて消えていく
何度も口を開きかけ
その度に冷たさに掻き乱れ
言葉は意味を持たぬまま
雪を纏って舞い上がり
溜息
そして
微笑
僅かに止んだ雪
「楽になったよ」
そっと呟くから
僕は一つ君を知って
安堵と共に覚える寂しさ
あと何度風雪に晒されれば
君の心を覗けるのかな
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