植物人間という概念/草野大悟
 
右手を
高く突き上げ
あなたは
手術室に消えていったけれど

ぼくは
あなたの
笑顔が
いつまでも
そう
いつまでも
必ず
戻ってくると
信じていたけれど


宇宙の闇に飲み込まれたように
あなたは
眠って
そして
眠って

瞼を綴じたまま
眠って

おれの
いちばんが
植物人間に
なってゆく

おれは
概念と闘おうと思う




あなたの
尊厳を奪った
大学病院の医者を
決して
絶対
許さない
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