くるったようになっておぼえていないときがある。/山本雅代
仕草だけなら
呼び戻されて駆ける。
街の中に
煙草屋がいる。
暗い はオープンとなって座るところさえ用意してあるのに
ひとは骨組みの上ばかり好んで。
くゆんでいる。
唐突とめぐり合えた日は
淡彩の秋の
グレー、だった
あなたは。
銀紙がくしゅっとなった。
私はまた照射の中に呼び戻される。
なまあたたかいところに
手を入れる。
肝心なことなど、消える。
忘我となって布団にもぐる。
脱ぎ捨てたもの
が、旋律。
薄くゆらいでいくものとなって
捉われたまま寝てしまっている。
戻る 編 削 Point(2)