まゆ/まんぼう
 
むらをぬけるみちに
かわいたかぜがふき
しろいつきがうかんでいる

露を含んだ緑の苔は朝の光に酔いしれる

ガラスも
きんもくせいも
しろくすながつもり

遠くから呼ぶ声は銀色の波形となり

ゴムぞうりの
ひにやけたすあしにも
しろくすなはつもり

眼差しはレンズを濡らす雨となり

ひのひかりは
かげとなり
たちどまる

年老いた男は灰色のまぶたを閉じる

ふるいまゆは
このはのようにかれて
こわれたことばをつつみ

寂しく枯れ野は永遠を宿す

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