雪・蛍祭り/
たりぽん(大理 奔)
ふわりと舞う雪が
街の灯りを反射して
今夜は蛍祭りだ
初夏の焦燥をも凍らせて
激しく雷光を放ちながら
吹雪いても、唸っても
季節が渡っていくというのに
冬の丸底フラスコの中
私は
水栽培のヒヤシンスのように
根を伸ばして
なまぬるい溶液の中で
どこにもとどかない
ただただ
冷たい蛍が凍える頬で
滑り落ちるだけなのです
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