傍観/松本 卓也
人の命は限り無く軽い
例えるならば羽毛のように
今日 30分前 誰かが死んだ
これから進む沿線沿いで
無機質な駅のアナウンス
舌打ちする音があちこちで
きっと誰も悼んでいない
僕だってそうなんだ
昔 政治家が言った
人の命は地球より重い
つまりは 世論への配慮
媚びた発言なのに 今でも多用される
本質は人道主義に掻き消えた
遠くの現実に映る嘆きに
誰もが目を背けて貪る
好奇心と言う名の 牙を剥く
思い返してみて欲しい
猟奇的であればあるほど視聴率は伸び
残虐性が強ければ強いほど発行部数は増え
人が死ねば死ぬほど配給は高くなる
照らし合わせ
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