三日月が山に沈んだ朝目覚めた夜/大城 小町
ピカピカの靴は汚れると思ったからすぐに下駄箱へしまった
思いついた嘘は嫌われるのが怖いからすぐに引き出しへ詰め込んだ
毎日毎日僕はあらゆるものをしまっている
しまっておかないと溢れ出てきそうな気がした
そんな行為がいつしか当たり前の事になった
いつもいつもしまっていて
毎日気にしてしまっているのに
部屋はゴミ溜めのように散らかって
それでも僕はちっとも気にもせず
落ち着いて
散らかった部屋で見る夢は
とっても綺麗な天国の夢だったりもする
そんな混沌とした矛盾の中であふれ落ちる幾つかのモノは
今日も背後から僕を突きながら
かすれた声で泣いている
かしの木の隙間から望む夕陽に
心奪われる僕らに与えられたモノ
言葉の意味を今此処に
戻る 編 削 Point(2)