羽と手/木立 悟
 
を歌うこともある


揺れのむこうに生まれ出るもの
ふるえのむこうに落ちてゆくもの
待ちつづけるかたちの網にではなく
ふと差し出される渦にあるもの
いとしさのなかへと船出するとき
ともに櫂を握るひとつ手
冷たく熱く握るひとつ手


音も無く 静けさも無く
降りつもる細かなざわめき色に
うすく目をあけ 手をのばし
ふりかえらずとも見える髪の陽
まぶしくふちどられる羽のかたちの
あなたの星海にからだをひたす









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