夕焼けは天才/青色銀河団
 
俺の十字架のような運命が 
暴風雨のなか俺を突き抜けた 
透明な脳髄の音楽は 
花崗岩と衝突し 
恐ろしい火花を撒き散らした 
あおじろい疼きの樹木さえも 
脱出する未来から吹く風なのだ 
慟哭する悲しみに吹く風なのだ 
かつて俺が黄昏の固いかべにへばりつき 
独りで書き記したことばは 
薄暗い寝台のうえで 
立ち昇る蒸気となり 
俺の神経を逆流する 
涙となるのだ 

夕闇など
翳ってくる血にすぎぬのだから
この蜜柑色の
さびしき日本語のなかにあって
あきらめばかりで
痩せてゆくのだ



時間(とき)にさえ
さびしき文字を書き連ね
夕焼けは天才
夕焼けは天才
夕焼けは天才なのだ






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