真冬の惨事/岡部淳太郎
そのかたわらでわけもわからずに
何かを食べていた子供よ
今年もいっぱい死んで
(悲しいです)
今年もいっぱい生まれて
(悲しいです)
明日は
たくさん 生き残れますように
つぶやきながら 冬の扉を閉める
のを急ぐこと それ自体が惨事だ
何故 と 滅び去った空に 問え
今年も終り
いっぱい死んで
(悲しいです)
いっぱい生まれて
(悲しいです)
その事態を つづる
午後三時
おやつの時間ですから
何かを食べましょう
夕暮れは
もうすぐだ
(二〇〇五年十一月)
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