輪郭だけが残っている/嘉村奈緒
 
       渦にのみこまれても
        瞼の奥は光でみちている









        林道を歩く 裸足のままで 足の裏に赤茶けた
        葉がつく するりとした音の中を行く 周りを
        見渡す 渦の中心に いる (揺れる) 言葉
        が落ちる 音 それから梢の渦 ひやりとした 
        土の上で 生きている わたしの
        わたしからの


        光、











        (パタン、という音)











        ・・・・・・











        部屋にいる
        鍵穴からあなたの背中を見送る
        指の痕を行く
        そうやって


           瞼の奥で(リ・・・、と)
           わたしと
           光、が揺れて






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