冬の夜/中音 涼
冬の夜の草原の中ただ一人全てを包む星に溶け込む
夜の風すさまじきかなこの我の心の曇り飛ばす如くに
山寺の人気も消えた本堂の屋根に掛かりしひとひらの月
残業を終えて帰りの駅出ればほのかに匂う屋台ラーメン
宴会のなべを囲んで湯気の中皆の笑顔がほのぼの覗く
年末の喧騒の中足止むクリスマスソングが心を癒す
聖夜来るイエスの姿何処にありただ空しさのバカ騒ぎあり
三日月のその鋭さを写しおり風の鋭さ体を刺しぬ
荒海が流れる星を吸い込みし新たな命そこより生まる
山頂に登りつめたるその先の天空に立つ勇姿オリオン
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