自虐志向/松本 卓也
 
重々しい灰色が包む脳天から
力技で星を眺めようと画策してみる
天に唾を吐きかける回数は
ここ一週間で食ったおにぎりと比べて
どちらの方が多いかなど
顔も知らない隣人に尋ねたくなる

誰もが遊んでいる忘却の世界
撫で肩をすくめてへばり付く壁に
淫猥な落書きを書き殴っては
佇んで自慰に耽る少年少女を
一つのキャンバスに収めるよう
牛乳瓶から太陽を覗き込んだ

歪んだ欺瞞が生んだ迎合が並ぶと
誰もが形ばかりに罪を認めたふりをして
喚き散らす気違いを蹴っ飛ばしながら
気付けば平均台より細い一本道を
一人また一人脱落しながら
リズミカルに行進してんだな

滑稽と言えば滑稽
哀れと言えば哀れ
曲がっているのがあるならば
僕の性根だけで良い
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