「 皮を脱ぐ。 」/PULL.
 
を込め、
あの喉を想う。


はじまった。
隣の部屋で声がした。

白蛇は哭くのだ。

きりきりと、
身を捩り。
己の皮から、
抜け出ながら、
天鵞絨の声で、
白蛇は哭くのだ。

キッチンの冷蔵庫から、
ワインを出して、
開けた。

それは赤い。
彼の目のよりも、
彼の血管よりも、
硝子の中のそれは、
なお赫い。
なのに、

また声がした。

彼がすべてを脱ぎ終わり、
いつもみたいに姿を現した時。

わたしはいつもの、
わたしでいられるだろうか?。

硝子の向こうで、
いくつものわたしが、
いつもの顔で、
こちらを見ている。

この夜は長くなりそうだ。












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