漂白される午後/霜天
 
あの日の電話の奥では結局どこにも繋がっていないと
夢を語るような視線で伝え合っている
その不確かな存在証明に、わずかな呼吸で集中すると
世界は真っ直ぐに夕暮れ落ちて
確かめようとする背中も
どうしようもなく


いつかの決め事のように
絡む蔦を払い除ける
扉はここでも開いていて
潜り込むような姿勢、それも
約束だっただろうか


立ち止まっても、止まっても

ここに背中はいつも泣き顔で試されるようなこと
あるいは、雲が行方知れずになること、その方法
見えているようで見えない、手のひら、届かない
届かない光、握り締めた電話の、呼び出さない音
そんなひとつ、ひとつを、まだ知らないうちから
縛り付けているような


どうしようもなく


呼び出されない世界で目を閉じると
内側から、真っ青に動く空が見える
気がする
なにも知らない一日を押し込む
わずかな呼吸で集中すると
世界は決まって
行き先を見失う
頼りない人は、それなりに
塗り替えられる繋がりは

ただ
まっしろ、になる
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