冬の登校/服部 剛
昨日見た夢の中で
銀世界の夜
雪だるま達が
無言の笑い声を響かせ
雪合戦をしていた
目覚めたベッドから
窓を開けると
おととい冬の子供等が
煙の吐息昇らせて
きゃっきゃっ とつくった白い笑顔は
陽の光に溶かされた 低い雪山
枝の腕や毛糸の帽子とともに
残された黒い瞳
ただ 澄んだ 空を見る
人間(ひと)は いつか 大地に 溶ける
ベッドから足を降ろし着替えたら
狭い我が家をあとにして
今日逢う友と きゃっきゃっ と遊ぼう
窓の外には 寒さの中で息づく少年
小さいランドセル踊らせ
学校の方へ 駆けてゆく
*初出 詩学 ’03・5月号(投稿欄)
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