断片集「連れていけない」/簑田伶子
一.
夜
と
おなじ速度で落下する
きみと
きみ
の 心中しようか
亡命 なら
考えたかもしれない
二.
きみに似ているもの
・深夜のガソリンスタンド
・ボリス・ヴィアン「うたかたの日々」
・窓枠
・B5用紙
三.
きみの背中はさよならの大きさ
四.
自分さえいなければ完璧だった
思い上がることは
そんなふうに 簡単だったのに
五.
きみは黒髪が似合っていた
きみは黒髪が似合っていた
きみは黒髪が似合っていた
私のために泣くなんて 凡庸だ
六.
この話は、しぃ ね
しぃーのひとさしゆびに欲情した
ちっていくよるの
やさしいきみの
たぶん 恋だった
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