夕闇ガラス/あやさめ
 

半身透明のガラス窓の向こうで視界が勝手に傾いて
電気スタンドを次々を倒して
薬瓶の入ったポケットから取り出した丸い地球の
模様を虫眼鏡で確かめていきます

立ち上がった椅子の前でテレビの音楽が転んで
タオルケットに支えあって昼休みの力学
水分がこのタイプライターの騒音のように消費されて
明日から脱水症状で倒れている人々の中で星が昇る

スチール写真のスローモーションを眺めて下から這い上がって
6階の教室にたどり着くと 人がいっぱいで
ベッドに戻ったのに来客はとうに詰め掛けて

スピンドル10枚入りのCDを暇つぶしに貰っても
¥と機械がないとどうしても役に立たない
カタカナ言葉を並べても追いつかない向かいの見舞い人


「お茶を飲む暇がない気がする」なんて 嘘をつかないで眠ります


半身透明の夕闇ガラスの向こうで
文字数のない説明された薬の粒を手にとって
鳥の数だけ目の端で追って飲みつづけます

時間のない僕の視界も勝手に眠ります

お や す み な さ い
 オ ヤ ス ミ ナ サ イ


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