小説?3/加藤泰清
猫は広場に住んでいる。広場と云うからには、そこは公園であることは間違いない。猫は常に青のベンチに座っている。蹲踞(そんきょ)していると表現したほうがいいかもしれない。とにかく威風堂々である。威風堂々な猫はベンチのペンキ塗り替えをさせない。威風堂々な猫は老人に座る場所を譲らない。それはカップルも同様である。威風堂々な猫はよく子供に弄られる。つまり尻尾を掴まれたり、髭を引っ張られたり、肉球をふみゃふみゃされたり、種類は多種多様だ。それでも猫は動かなかった。雨の日も風の日も。いずれにせよ威風堂々だった。何故にそのような威風堂々であらせられるのか。猫の言語を喋れる者はいるわけは無い。なので猫は態度で
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