はざまのうた(青と冬の子)/木立 悟
 


届かぬものは届きはじめて
冬の子のはざまに寄り添ってゆく
冬の子のなかにひろがりつづける
たおやかな森に寄りそってゆく


降りそそぐあたたかなつめたさのなかで
つめたさがつめたさのままでいるうちに
胸だけが檻に囲まれていて
錠がかけられ鍵は見えない


眠りつづける冬の子を
緑の洞に置いたまま
青はひとり
はざまの道を歩きはじめる


雨上がりにけむる森から
空へ呼びかける子の声が
背につもり
背につもり かがやいてゆく


手のひらに立つ光があり
渇きを知らない道を映す
遠い雨のきんとむらさき
地の庭 空の庭を照らす










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