はざまのうた(青と冬の子)/木立 悟
揺れつづける鈴の音
回りつづける水車の音
遠い遠いいとなみの音
届かぬように届きつづける
小さな小さないとなみの音
油彩の歩道に描かれる鐘
灯りが消えて現われる腕
つぎはぎに鳴るいとおしさ
幽かに放たれるものの行方
縦の雲を横にして
空をいろどり かきむしる風
世界を回す力と逆に
絵筆の先をはねあげる
その道を自分は通らない
そう言うと青は海へ落ち
さまよう色のひとつとなって
冬の子とともに空を見つめる
あたたかなつめたさが
になうままに降りそそぐ
荒れた草木の庭を染め
白く白く轆轤(ろくろ)を回す
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