冷たい昂揚/あまくちペルノ
顔をさす空気のつめたさに 一瞬ひるみそうになる
空は明るくなりかけても
まだ僕ときみの空気はあたたまらない
かじかむ手指に持たされるのは
どうしようもないほどの透明な煌めきと焦燥感
冷たくて鋭いきみの裏返しを
僕はとうに擦り切れた古いパーカーの裾で
やっとこさ守っている
精一杯に
早く早く もっと早く
もっと早く助けにきてヒーローのように
早く早く もっともっと早く
もっと早く助けに来て
一瞬で私を盗み見切った あの野良猫のように
後ろから
こわいこわいくるまがおいかけてくるよ
後ろから
こわいこわいおとこが
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