首吊り族の死に方とその歌/岡部淳太郎
 
死期が近づくと
彼等は自ら首を吊って死ぬ
夜に 孤独な木を探してその枝に
縄を垂らして果てる
南の大地は熱い
吊られた身体は素早く腐る

自分ひとりで首を吊れない者は笑われる
ましてや病魔が徹底的に彼を打ちのめすまで頑なに
首を吊ろうとせずに負けて死ぬ者は軽蔑される
首吊り以外の死に方は忌まれる
末代までの恥とされる
与えられた生に責任を持つ
それは死を自ら選択することであるとされる
だからひとり首を吊って死ぬ者は
残された者たちから勇気ある者として称賛される

吊られた身体はある一定期間そのままの状態で残される
呪われた準備期間が過ぎると
残された者たちはお
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