東京駅/かおり
 
 「東京駅」
 そりゃあ、
 焦ってしまうこともある。
 街は
 加速度的に過ぎているし。
 東京駅の地下、
 動く歩道
 ぼんやり
 壁面の広告なんかを眺めて
 立ち止まっているのは わたし。
 追い抜いてゆく人々。
  わたし、だけ。
     オイテケボリ。
 からだのまんなか、
 おへそのあたりが
 きゅーっとなって、
 鼻が
 目頭が
 つーん となって、
 緩めていた
 両の手を
 ギュッと握りしめる。
 降り続いた雨が
 やっと
 上がる頃、
 わたし の 心の空も
 晴れるといいな
 なんて、
 バカげてる?
 ねえ、バカげてる?
 結局。
 世界は
 自愛に満ちている。
 
 強く、なければ。
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