『少年』/AKi
魔法の国に 小さな少年がいた
彼には 火を熾すことも 風を喚ぶことも できないほど
小さな力しかなかった
しかし 悲しみと痛みを知る彼は
「小さな小さなこの力、何も出来ないかもしれない。けど、誰かの傷を癒したい」
弱々しい力しかなく ずっと笑い者だった彼のもとへ
一羽の美しい鳥が現れた
「あなたには本当は強い力があるのよ」
彼女のぬくもりはやさしかったけど
痛みを知る彼は すぐ彼女の傷に気づき
「小さな小さな僕だけど、小さな君が抱えてる
大きな大きなその傷を僕の力で治してあげる」
小さな少年が初めて使った大きな力は
彼女の痛みを消すどころか 更に大きく傷
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