十二月の遊戯曲/相馬四弦
 
ひどく澄んだ冬の六時が

赤茶けた月を破裂させようとしていた

森が木枯らしに波立つ

子供たちの影だけが薄く揺らめき

灯りに群がって死のうとしている

毛糸の帽子を頬までかぶって

両手を突き出して家路をまさぐった

そのとき指の隙間から零れ落ちていったものを

君は一生をかけて探し求めるだろう

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