*道化者の小唄*/かおる
 
あたしはまちの人気者
運動会には引っ張りだこで
野良達の羨望のまなざしに囲まれる
気のいい、やおやのおいちゃんや
魚屋のあんちゃんから余り物の貢ぎ物
喰いっぱぐれる心配は無い

オリンピック競技の陸上の花形強化選手に
逆立ちしても選ばれる見込みは
やっぱり、何処を探しても見つかりそうもない

あたしとうたの間には深くて長い溝がある

パン喰い競争ではダントツを
いつも突っ走ってきたけれど
ハードルを飛ぶように
そのヒトマタギができやしない
その前に佇んで小石のような言の葉を散らし
果てない遥か遠くの音に耳を傾ける
底は見えない

あちらから天使のうたが

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