十二月/銀猫
薄荷煙草の火も消さぬうちに
十二月が階段を上ってきた
(マフラーの準備をしなければ冬は来ない)
身勝手な先送りを
誰か聞き届けるはずもなく
暦の挿し絵は 赤 緑 白
聖夜を待つ恋人や
成績表を憂う子供たちは
いち早く冬を嗅ぎ分けて
雑踏に四角く暮らすわたしは
朝夕の処方薬で
ただ日付を数えている
朝方に毛布を引き寄せると
きみが夢に居て
冬が髪に絡んだ
凍えた耳は毛糸で
かじかむ指は
息を吹きかけ護られたが
ささやかな約束ごとは
いつか繰り返しを止んでいた
そぞろ心は
灯油の匂い
赤 緑 白 と
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