寒灯日和/森川マサハル
あさ
テーブルに置かれた
コップのふちから
ゆっくりと
日は すでに
暮れはじめている
午後
コップの高さから
風は 次第に
暗さ を深めていき
やがて
風上の黒い家屋から順に
灯が
ふわり、ふわり、
と あがっていく
水辺では
ぴくりともしない水面
一匹のさかな が
あきらめたように
黒い水を 俊敏に蹴って
寝床へと帰る
夕暮れ
深まった
かたちの良い
いちまいの鱗が
そのとき
静かにはがれ落ち
沈められ
ゆっくりと
揺れながら
着地する
十二月の水底に
小さく
砂が舞い上がる
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