萎えた心に何を抱く/松本 卓也
不愉快な空気が満ちる
朝の鈍行列車から
酒と汗と香水の混じる
夜の快速電車まで
幾百の惰性と諦念が
溜息を吐きながら循環する
最近は白髪を数える楽しみを覚え
気が付けば歳だけは食っていた
3年半も巻いていながら
慣れる事のない首輪に手をかけて
戯れに動脈を締めてみても
所詮やる気の無いパフォーマンス
今日が終われば後二日
明日が終われば後一日
指折り数える休日は
何の予定さえないんだなぁ
想像もつかない明日を取っ払い
死力を尽くして今日を終わらせ
向き合う先には居もしない僕の影
今日も明日も同じ人生が待っているけど
いつかこの繰り返しの中で
見出した意味に捧げる心を持ったまま
不確かな何かに身を投じるその時を
虎視眈々と狙ってたりもするんだぜ
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