途中で切れた詩/はらだよしひろ
 
滴が昔に還る
雨音が車の騒音に擦れて
記憶に消える

誰がなんと言っても
僕は夢の意識の中で
生く年を生き

見える過去の中で
描くのは
まだ見ぬ絵

チャンチキ チャンチャンチキ
歩く
消えた道を果てしなく

全てはあの日だった
なんて 言い訳も
驕る心に積もり
道除く見違えも
時の陰りに流行る

嘆息はいきり立つ鼓動の果てに
須らくをもって断たれ

鈍き光の寒さに
乱射が陽を増す

訪れる春のように
涼しさは
汗ばむ日差しの中で
戯れる秋のように憚られる
冬を桜乱れるあでやかさの中で
波音茂る夏になりました

なのか ようか
なみおと
ひとごえ
へびのかみさま
おりてきた
りゅうのかみさま
おりてきた

とんとんかちきん
とんとんかちきん

私は血染めになった父の服しか覚えていません
あいつらは いきなりやってきて 18〜40の村の男を全て連れて行ったのです。そして3日後に来たのは、形見という服の切れ端でした。

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