すべては均され、抱かれてゆく/アルビノ
神様が平等に与えてくれるのは
自由や幸福などではなくて
死ぬということ
きみたちは
一生懸命に駆け抜けて
だけどその先が
谷底か崖かもしれないことを案じている
死というものは
連絡なしにやってくる
来客のようだと言っている
ぼくは名前ばかりの仏教徒で、
いわば無宗教のようなもので、
だけど立派な仏教徒と同じように
死ねば焼かれて
土に埋められるんだ
それは平等に、
キリスト教の彼女も同様に
ノストラダムスに怯えた
チェルノブイリに震えた
だけど死とは
それとは全然違うものだった
死は、
無礼な来客ではなく
小さな苗を庭に植えるようなもの
死は終わりではない
始まりなんだ
ぼくらは植えてもらうんだ
あたたかな地球のおなかの中で
根を広げるんだ
希薄で白んだ世界の下で
大樹のように
根をはるんだ
きみのあしもと
ばらばらの手足をひろげ
白骨のぼくが笑ってる
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