ネリリしたりハララしたり/佐々宝砂
 
それこそ東奔西走した。二人の親戚衆を説得し、こまごました借金を整理し、弁護士を紹介し、返せないんだからしかたないでしょうということで男を破産させた。さらに、結婚の立会人二人すら見つけられないこの恋人たちのために、自ら立会人となりもう一人の立会人をどうにか見つけてきてサインさせた。

つまりこの友人を結婚させたのは火星の人類学者なのだが、その火星の人類学者に向かって彼女は「とんでもない男と結婚してしまった、私の理想と全く違う」と愚痴りまくるのである。しかし離婚したら、彼女は目がとろけるほど涙を流し鬱になり、言葉激しく「私は死ぬ、自殺する、自殺しないとしてもストレスで心臓が悪くなって死ぬ」と火星の
[次のページ]
戻る   Point(4)