ネリリしたりハララしたり/佐々宝砂
のだ。たとえば「くわあとる」する、って言い方、これはフレドリック・ブラウンの短編。それとも空を"kwim"する? これもブラウン、『火星人ゴーホーム』。要するに、意味の通る言葉でなくて、でもなんとなく「言葉」みたいな気がするものならなんでもいい。地上にある言葉でなくて、ものすごく違和を感じるここではないどこかの言葉みたいに感じられたら、それがいちばんいい。すごくいい。
つまりそれがしたいんだな、と火星の人類学者はぼんやり考える。自分自身をも含めて、地上の匂いがするものすべてが鬱陶しい。中島みゆきは嘘つきだ。地上に星なんかあるものか。地上にあるのはナマモノばかりだ。嫌いとい
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