淡路島/かのこ
あれは遠い夢で見た海岸。
あの波の碧さ、あの浜の眩しさは
今もたもたれているのであろうか。
焼けたガレージの隅にあったシャワー。
広い玄関には浮き輪やボートがあった。
はす向かいの、セブンという大きな犬。
赤い屋根のガラス細工の、小さな住人になりたかった。
古いレコードをかけ
もう一度あの高い階段をかけのぼる。
でも、ウミガメの剥製はきっとまだ怖い。
波の音は絶えず、夢の中にまで、心地よく。
あの海岸沿いのアスファルトを
あなたと並んで歩く夢を見た。
そうして眠る夢を見た。
消えない夏の。
いつかは必ずやって来る明日が
今夜、どうしても好きになれなくて
苛立ちに顔を歪めたまま
夜の終わりを待って
だけど夢の中ずっと眠り続けて
幸せすぎた夢に魘されてる。
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