レタ/日和
 
タは
レタは
レタは 厄介な同居人だった
 
 
 

レタがうちにやってきて
昼が403回と夜が327回やってきたころ
レタがふっと消えてしまった
私は驚いて家中を探したけれど
すべてのコップのなか
すべての湯飲みのなか
炬燵(こたつ)のなか
家中を探し回ったけれど見つからなかった
コップが気に入らなかったのかしら
湯飲みが狭かったのかしら
レタは消えていくときまで厄介だった
せめて
置き手紙くらいは置いてゆけ
こっそりと怒った
そもそもレタが文字なんて知るわけもないのだけれど
レタは私の中に夜を置いて帰った
私は全部をレタのせいにしてひっそり
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