列なる者/かぜきり
 
ている・・・・

ポケットの中は目的のに の を にあ あにの お のもので はなくて
なにを忘れていたのか思い出すことなく・・・

てのひらを広げると
そこには

100円玉のかけら

ホームの隅の自販機に
カップコーヒー淹れて貰い
かたわらですする

苦い
変な顔をして
溜息をつく、と

駅員だった黒猫が
足元から見上げていた

口になにかくわえている


季節に消費される空白の一瞬


紅葉・・・?


あ そうか
朝ごはん食べてなかったかも

とひとりごちて駅猫の口元をよく見てみると切符だった

飲み終わったカップを丁寧におりたたみ
積みあがったゴミ箱の脇に置き

ホームのはしからとびおりて

ねこのくちから
そっとうけとり

ぽろり

序奏をくちずさむ・・・

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