波紋/ベンジャミン
ある現実に落とされた
一粒の出来事は
どんなに大きな波紋を描こうとも
より大きな現実に吸収されてゆく
私たちはそれを
受け止めたり
跳ね除けたりしながら
けれど
その波紋の消えゆく様を見ていない
先へ進むことは大切で
立ち止まっていてはいけないのだと
何処かで誰かが
涙を一粒落としました
その波紋の終末には
どんな結末が描かれるのかなんて
大切なことはそんなことじゃなくて
やがて静けさに溶け込んでゆくその
たとえそれが
大きな現実の輪の中の
ほんの小さな点のように思えても
一粒の出来事が
起こす小さな波音が
孤独ををなぞることのないように
誰もがそっと目を閉じれば
そこにはきっと
救える悲しみが見えるはずなのです
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