むらさきの日/木立 悟
 



まぼろしの重さと
重さのまぼろし
戸惑いと迷いと
緑のはざま
きらきらときらきらと
取りもどせないものの列
手のひらに 手のひらに
降り来るものたち


むらさきが
訪れてはうたい
訪れては消える
突然の光が
雨に触れずに引き返し
道にまぶしい棘を置き
よけながら あるいは踏みながら
歩むもの
駆け抜けるものを見おろしている


水たまりのなかを遠のく外灯
追いつづけるものの白い果て
ふと摑まれる予感のあとに
雨は終わり
風がはじまる


むらさきが むらさきが
道をひらき駆けのぼり
折れたままの指をひらき

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